更新日 2015-07-02 | 作成日 2007-12-18

血液腫瘍内科

血液・腫瘍内科を研修する意義

 血液・腫瘍内科は最も強力な抗癌剤を使用する診療科の一つです。様々な副作用に対する万全の支持療法が要求されます。特に、高度な骨髄抑制に対する適切な対応は、血液・腫瘍内科研修で習得すべき基本事項です。抗生剤の予防的投与、G-CSFの適切な使用、好中球減少時の発熱に対する適切な抗生剤の投与。さらには真菌感染やウィルス感染に対する早期の適切な検査・治療などの対応、そして適切な輸血の時期の判断などが、研修により深く身に付きます。固形腫瘍に用いる抗癌剤治療においても、個々の症例によっては、骨髄抑制が強く出る場合があり、骨髄抑制に対する適切な対処を十分身につけておくことで、重症感染症に対する救命が可能になるとともに、不必要に抗癌剤の用量を減らしてしまい、十分な抗癌剤の効果が得られない、といった過ちも防ぐことが出来るようになります。
 近年、がんの発症機構の解明と、それに対する分子標的療法が脚光を浴びています。血液・腫瘍内科ではImatinibやRituximabなどの分子標的療法がいち早く実用化され、標準的治療法を刷新するほど著効を示しています。その一方で、分子標的の酵素の点突然変異の出現などによる、耐性の出現なども明らかになりつつあります。さらに、第2、第3の分子標的療法も登場しており、適切な分子標的治療薬の選択や併用、耐性出現に対する適切な検査・対応などが研究されています。他領域の固形腫瘍においても、肺癌、乳癌、大腸癌などで分子標的療法が実用化されており、今後ますます使用が広がっていくことが考えられます。新しい機序の薬剤であり、それぞれにおいて特有の副作用が報告されています。分子標的治療に精通しておくことは、がん専門医として、ますます重要となることが予想されます。

 血液腫瘍では、自家および同種造血幹細胞移植が積極的に行われています。他領域の固形腫瘍においては、限られた症例でしか行われておらず、標準的治療法ではありません。しかし、今後の発展次第では、他領域において移植技術が重要となる可能性もあります。血液・腫瘍内科において実際の移植医療を研修しておくことは、将来臨床治験にて行うような場合にも、貴重な経験となると思われます。
 血液・腫瘍内科で研修されることは、がん医療のプロフェッショナルを目指す上で非常に有用な経験となるはずです。

血液・腫瘍内科がんプロフェッショナル養成プラン・インテンシブコース

 東大病院の血液・腫瘍内科では、質の高い治療の実践だけではなく、診療における新たなエビデンス作りや、基礎的な原因解明を通じた新規治療法の開発など、臨床と研究の両面から、造血器疾患に対する診療の向上を目指しています。また造血器キャンサーボードのカンファレンスを毎週行い、病理医や関係各科とともに、横断的に造血器腫瘍や原発不明癌に対するディスカッションを行っております。

 当教室での通常の研修内容は関連ホームページのリンクからごらんいただけますが、本インテンシブコースでは、研修期間や、医師のこれまでの研修背景、専門知識に応じて、個々にきめ細かく研修内容を設定させていただきます。必要な手技は多くないので、これまでの診療経験を問わず、積極的に医療に参加していただけます。

心おきなく血液・腫瘍内科研修を

 造血器腫瘍は他の領域のがんに比べ、非常に抗癌剤がよく効きます。手術の補助ではなく、薬物療法が治療の主体で、完全な治癒も期待でき、腫瘍内科の醍醐味を味わっていただけると思います。やりがいを感じていただければ、是非血液内科を専門としてください。当教室が責任をもってサポートさせていただきます。

 他院で血液内科を専門とされている方も、東大病院のインテンシブコースにて研修される場合には、是非血液・腫瘍内科も選択してください。もちろんその後の当教室への参加も大歓迎です。